【コンクリート診断士】基礎【劣化の機構:塩害】

基礎編
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塩害とは

塩害のメカニズムは、劣化を促進させる塩化物イオンにより、コンクリート中の鋼材が腐食し、体積膨張することでコンクリートにひび割れや剥離、鋼材の断面減少による性能低下(耐荷性等)を引き起こす現象。※腐食の際は不動態被膜が破壊されます。

中性化と同じようにコンクリート内の鋼材に作用するため、無筋構造物(無筋コンクリート)には強度的な影響はない。

塩害による腐食は、鋼材の腐食が開始するまでの潜伏期、腐食開始から腐食ひび割れ発生までの進展期、腐食ひび割れの影響で腐食速度が大幅に加速する加速期、鋼材の大幅な断面減少や大規模なコンクリート剥離等を及ぼす劣化期がある。

※協会や講習によっては、加速期には前期後期で分けているところがある。加速期前期及び加速期後期。

ターニングポイント的にいうと鋼材の腐食発生があるかどうかで、潜伏期なのか進展期なのか。ひび割れの発生があるかどうかで、進展期前なのか加速期に入ってしまっているかが分かる。診断するうえでこれは押さえておきたい。

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潜伏期は、外観上の変化はない。その名を示すように劣化への潜伏をしている期間になる。塩化物イオンの濃度が腐食の発生に達するまでの期間は潜伏期となっているが、外的要因や内的要因によってその期間は当然異なる。例えば、海の近くだと海水の影響、降雪地域では、凍結防止剤散布による影響により外部環境からの塩化物イオンの供給がある。当然、コンクリート製造時に材料から供給される内的要因もある。
※海洋環境の場合、乾湿繰り返しを受ける飛沫帯の方が進行が速い。海中部は塩化物イオンは多いが酸素が少ないため腐食がきわめて遅くなる。
不動態皮膜は、鋼材表面に酸素が化学吸着し、緻密な層(3mm程度)を形成されたものとされている。これが破壊されたら塩害は潜伏期から進展期に移行している。
進展期は、潜伏期同様に外観上の変化はない。鋼材の腐食が開始した時から進展期となる。塩害は、鋼材表面の不動態被膜が塩化物イオンにより破壊されることで腐食が開始する。特に下記の①及び②の反応メカニズムを押さえておくが重要。
アノード反応:鋼材表面から鉄イオン(Fe2+)が細孔溶液中に溶け出す。
カソード反応:鉄イオンが残していった電子(e-)が酸素と水で反応する(OH-)。
そして、①によって発生したFe2+と②によって生じたOH-が反応することで、水酸化第一鉄(Fe(OH)2)が生成される。ある種の酸化した鉄(錆び)。このように①と②の反応があるがそれらが同じ場所で発生する反応をミクロセルの腐食反応。離れた場所でも反応することをマクロセルの腐食反応。と呼ばれている。
加速期は、進展期を超えて、腐食によりひび割れが発生した時から加速期とされる。鋼材が錆びているため、腐食ひび割れのほかに錆び汁やコンクリートの浮きも見られる場合がある。ひび割れが生じれば、塩化物イオンや水、酸素の鋼材への供給が促進され、加速度的に腐食していく。※故に加速期。これが続くことで大規模な剥離や剥落、鋼材の著しい断面減少が生じると劣化期となる。
■コンクリートのひび割れのパターン三選。
①鋼材からコンクリート表面に向かう1本のひび割れ。
②鋼材からコンクリート表面にある角度で向かう2本のひび割れ。(剥離の可能性有り)
③鋼材と鋼材を結ぶ方向に進展するひび割れ(広がることにより広範囲の剥離の可能性有り)
どれも嫌ですね。特に③の場合が続いて、最終的に①や②のひび割れが発生した場合は、すでに内部にひび割れが広がっているから重症化しそうです。その際はコンクリートの浮き等が確認できそうなので、判断したいですね。
鋼材の腐食による体積膨張は、2~4倍。コンクリートのかぶりが大きくなるとひび割れ発生時の腐食量も大きくなるが、ひび割れ発生までの期間も長くなる。鋼材の間隔(鉄筋のピッチ)が小さくなると③のひび割れが連続して発生する傾向がある。
初期対応(潜伏期、進展期)をするためには、塩化物イオンがかなり重要なワードですね。含有量を測定する方法が重要な気がします。かなり書き殴りだけどこのへんで。
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